あいすみません

早期退職?セミリタイヤ?・・・いやいやダウンシフトです!「筋トレ」「読書」「映画&音楽&スポーツ鑑賞」で心身を整えています。

韓国映画『殺人の告白』と日本映画『22年目の告白 私が殺人犯です』のリメイク考:この映画を観た(7)

『殺人の告白』

監督:チョン・ギョンビル

主演:パク・シフ、チョン・ジェヨン

2012年/韓国映画

 

22年目の告白 私が殺人犯です

監督:入江悠

主演:藤原竜也伊藤英明仲村トオル

2017年/日本映画

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映画から映画へのリメイクは難しい 

映画がリメイクされることってよくありますが、元ネタとなった作品を超えるものってなかなかありません。我が敬愛する黒澤明監督作品は、『七人の侍』が『荒野の七人』や『宇宙の七人』や『マグニフセント・セブン』など、あれやこれや。『用心棒』が『荒野の用心棒』『ラスト・マン・スタンディング』など、あれやこれや。にリメイクされていますが、どれも元の黒澤作品は超えられません。

 

ちょっと前にクリント・イーストウッド監督の『許されざる者』を、日本映画でリメイクしてました。これも企画的には無理がありました。元が良すぎて、わざわざリメイクする必要があったのか?と思えしてまったのです。

 

フランス映画の『ラスト3デイズ』ってご存知ですか?ハリウッドでポール・ハギス監督、ラッセル・クロウ主演でリメイクしてましたが、これもフランス映画版の方が圧勝です。ヨーロッパの映画は、よくアメリカでリメイクされますね。アルゼンチン映画の『瞳の奥の秘密』をご存知ですか?これもこの間『シークレット・アイズ』という邦題で、ニコール・キッドマンジュリア・ロバーツ主演でリメイク。このリメイクはかなり健闘はしていましたが、アルゼンチン版の味わい深さやラストのやるせなさには、ひと味もふた味もかないませんでした。

 

リメイクとは、もともとオリジナル作品が良く出来ているからこそのリメイクです。つまらない作品をリメイクしたいと思う、制作者はあまりいないでしょう。つまり制作のスタート時点から、もともと面白いものを、もっと面白く出来るという目論見が必要なわけです。リメイクのクリエーターはたいへんですよね。

 

あ!成功したリメイク作品を思い出しました。漫画ですが・・・。手塚治先生の『史上最強のロボット』という鉄腕アトムの一遍があります。これを浦澤直樹さんが、『PLUTO』という作品に、リメイクしています。これはとてもよくできていました。

 

映画だと~・・・・・「うーん」・・・・映画だと~・・・・・「なんだろう?」・・・・思い出した!ありました!!マイケル・マン監督の『ヒート』。ご自身監督のドラマ『メイド・イン・LA』の予算拡大、スター主演による、まんまリメイクです。前にLAに行ったときに、時差ボケで眠れず、夜中にホテルでテレビを観ていた時に、チープなんだけど面白い作品を見かけたのです。どうもコレ観たことあるストーリーだなあと思っていたのですが、途中で気が付きました。これが『ヒート』の元ネタドラマか!と。でも、これはドラマが元ネタですね。ドラマの映画リメイクは、その逆も含めていろいろありますからね。

 

話を戻しますと、映画から映画へのリメイクは難しいと思います。元ネタを用いて、新しい新鮮なアイデアを加えて、もっと良くする。全員がこれに挑戦するのですが、新しい新鮮なアイデアを加えることにより、もともとのストーリーの整合性が壊れてしまう事が多いのです。また映画は、それぞれ制作国のメンタリティーや文化背景を背負っています。リメイクすることで、ちぐはぐになる場合があるのだと思います。全体が中途半端でバランスの悪いものに、なってしまうのではないでしょうか。しかも小説の映画化と違って、比較も簡単。原作読むのは時間も労力もいりますし、テレビの場合は観れない場合もあります。元ネタの映画を観るのは、今の時代は有名作の場合は特に簡単なのです。それくらい映画から映画のリメイクは難しいのです。

 

リメイクに関する話が長くなってしまいました。今回鑑賞したのは、日本映画『22年目の告白』です。これは、韓国映画『殺人の告白』のリメイクです。基本設定は、同じです。未解決事件の殺人者が時効成立後、手記を出版し姿を現します。衝撃を受ける、個人的な因縁を持つ担当刑事と被害者の遺族たち。そして・・・・という内容です。これ以上書くとネタバレなのでストーリー紹介は自粛します。

今回の軍配は?

今回はあえて韓国映画を事前に観てから、映画館に行きました。前に元ネタ版を偶然観ていたというのではなく、日本版を観るために、amazonプライム・ビデオでレンタルしてわざわざ先に観たのです。便利な世の中になりました。近所にツタヤが無くても、すぐに映画を観ることができるなんて。

 

最初に鑑賞した韓国版は、とてもサスペンスフルで面白かった。韓国映画らしい、怨恨と狂気。告白者のパク・シフの怪しさ、刑事役チョン・ドヨンも、彼らしい中年の悲哀。面白いので、リメイクしたくなったという事は、間違いないなと確認できました。ということは・・・逆にこれはたいへんだぞ。仕事としては日本版に参加するクリエーターの皆さん、甘くないぞと考えながら、映画館に行ったわけです。

 

その結果は・・・・、「大健闘じゃない!」と高評価させて頂きます。「日本版の関係者の皆さん、おつかれさまです!」韓国版を先に観てから行っても、楽しめました。観てない人は、その倍楽しめるのではないでしょうか。流行の女子高生の難病ものとか、地方で懸命に生きる人たち、みたいな無垢な良い人ばかり出てくる映画が好きな方でない限りは。日本版は韓国版を元ネタに、よく物語の日本化ができていました。日本版の良かった点は以下の通り。

1:連続殺人事件とその時間の経過の描き方

2:元ネタの良いところを、無理に変えずにそのまま使ったところ

・特に映画前半の物語の基本となる全体的な展開

・殺人者が告白本を書き登場する展開

3:犯人と刑事のテレビ番組での対決そしてその後の展開の改変

・韓国版と日本版の一番大きく違うところ(書けません)

 

日本版の3なんですが、書きたいけど書くとネタバレなので書けません。公開から約5年が経つ、韓国版中心に書かせていただきます。(韓国版をこれから観る方は、読まないほうが良いです)

 

韓国版と日本版の一番の違いは、韓国版はアクション・スリラーなのです。遺族と名乗り出た犯人のカーチェイスの攻防、ラストの大追跡かつ大死闘など、アクション描写に手間暇をかけた創りになっています。日本版はアクションではなく、サスペンス・スリラーです。殺人者の告白から始まり、真相の究明まで登場人物の言動の伏線、推理などをサスペンスフルに見せていきます。これは予算の多い少ないの関係でこうなったのではなく、韓国版に唯一欠けていた部分を補うためにこうしたのでしょう。(予算のせいじゃ無いと思いたいです)

 

韓国版の欠けていたところとは、この映画の真相解決時にわかる犯人像が浅いということです。ムチャクチャ浅いです。ただの狂ったシリアルキラー。もちろん両作品とも犯人はエゴに狂った連続殺人者です。日本版は背景の動機や、時効まで世の中にどのように隠れていたのかを理解させてくれます。韓国版は、ただの狂った人間のクズとして登場します。まあ、この後の展開がアクションですからね。ここが日本版が元ネタの韓国版を上手に改変した部分でしょう。

 

もうひとつあります。韓国版は被害者が一致団結して、告白者を拉致殺害しようと奮闘します。コミカルにも見えるこの展開をそのままやると、日本だと失敗するなと思っていたのですが、日本版は被害者の辛い気持を強く描き、アクションを削除しています。この選択は正しいと思いました。元ネタの良いところを活かし、捨てるべきところを捨てた・・・ということですね。

星取

『殺人の告白』★★★☆

『22年目の告白』★★★☆

 

両作品とも3.5とさせて頂きます。韓国版のもともともアイデアとその展開の面白さに敬意を表します。そして日本版がその元ネタをとても上手にリメイクし、後半に新たな解釈を加えて物語の完成度をさらに高められたこと、これが素晴らしかったです。差を付けずに両作品とも高評価させていただきます。

 

藤原竜也さんの、相変わらずの怪演も素晴らしかったです。こういう役は、ウソっぽくならないでなかなかできないですよね。また刑事役の伊藤英明さんって、立派な映画俳優っぽいと感じました。身体もきっちり創りこんでいて、動きがしなやか。顔に中年の悲哀も出てきました。甘いマスクの青春スターから、ポジション・チェンジが順調のようです。

 

映画の評価は、実は点数化していないので難しいです。だいたい2とか3以下=普通orイマイチが多いので、わたしてきには、3.5は好きな映画なのです。5の映画=大好きな映画は、黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』『七人の侍』『赤ひげ』降旗康男監督の『冬の華』『駅STATION』スピルバーグ監督の『ジョーズ』などです。

 

あっ!最後の最後にもう1本思い出しました。映画から映画へのリメイクで、面白かった映画。ジョン・カーペンター監督の『遊星からの物体X』。・・・・・・・どうでもいいですね、失礼しました。

(それでは・・・あいすみません)

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