あいすみません

早期退職?セミリタイヤ?・・・いやいやダウンシフトです!「筋トレ」「読書」「映画&音楽&スポーツ鑑賞」で心身を整えています。

佐々木譲 著 :道警シリーズ第8弾「 真夏の雷管 道警・大通警察署 」 読了

「真夏の雷管  道警・大通警察署」

佐々木譲

角川春樹事務所 刊

2017年7月18日第一刷

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 警察小説の第一人者といえば佐々木譲さん

今年に入りamazonプライム・ビデオのドラマ化を観たせいで、マイクル・コナリーがマイブームです。未読だった初期作品を中心に、LA警察のハリー・ボッシュ刑事 シリーズを著者の執筆順に読んでいっております。

そんな中、いつもの本屋巡回を東京・池袋でしていたところ、佐々木譲さんの道警シリーズ最新作を発見し購入しました。このシリーズを初めて読んだのは、たしか・・・シリーズ第1作の『うたう警官』が『笑う警官』と改題されて、文庫になった2007年頃です。とてもスリリングで面白い小説でした。それ以来、過去7作品の全て読んできております。新作が出たら問答無用でこれは読まなければならない、長い付き合いのシリーズなのです。

佐々木さんの小説では、現代劇の犯罪捜査モノがわたしの好きなジャンルです。ストライクゾーンのど真ん中。シリーズ以外にも直木賞受賞の『廃墟に乞う』を始め、『制服捜査』『暴雪圏』『地層捜査』『代官山コールドケース』『ユニット』・・・等を読んできています。

著作が沢山ある作家さんですので・・・コアなファンの方からすると「少ないじゃん」と言われるかもしれませんね・・・あいすみません。でも個人的にはジャンルを選んで、けっこう好んで読ませて頂いていると思っています。

佐々木さんの警察小説をなぜ好きかというと、コナリーやジェフリー・ディーヴァーのような、摩訶不思議な事件で、どんでん返しの連続という物語とはまた違い、

主人公を中心とした人間性と関係性を中心に描いているキャラクター小説だからだと思っています。登場人物が、何を想い、何を言い、どのような行動をするのか、彼らの人間性や信頼感が、困難を乗り越え事件を解決する物語なのです。

このシリーズは主人公の佐伯刑事を中心に、いつものメンバーが出番の濃淡は作品ごとにありますが、犯罪者の検挙に向けてそれぞれの信念の下に、捜査を進める過程を描いていきます。言動に感情移入ができるキャラが小説の中に見つかれば、あなたも「ようこそ佐々木譲ワールドへ」となるはずです。

 道警シリーズの最新・第8作

今回の作品は道警シリーズの第8作です。最初の『笑う警官』を読んだ時は、警察組織VS警察官の話でしたので、ここまでシリーズ化されるとは思っていませんでした。やはり描かれたキャラクターが、生き生きとしているからこそ、ここまで続くシリーズになったのでしょう。

あらすじは書かない方が、これから読む皆さんに親切ですので書きませんが、今回の事件はある窃盗事件が筆端となり、爆弾製造が疑われるところから始まります。誰が?何のために?その捜査の過程でチーム佐伯の面々が大活躍。チーム佐伯は、それぞれ所属する組織は違うのですが、事件の伏線が見事につながってゆきますので、最後はオールスターキャストで勢ぞろいです。

『笑う警官』の映画化作品は残念な結果でした

このシリーズの第1作『笑う警官』は、2009年に東映で映画化されています。公開時に小説のファンのわたしは、喜び勇んで映画館に行きました。ふだん東映の映画はアニメも戦隊モノも観ませんので、めったに行きませんが、この映画化は別です。

キャストも渋めで、かえってリアリティでるかなと思いつつ・・・一番の不安材料が監督でした。「原作の出版社の社長がやるのか」とちょつと残念。「せっかく東映なんだから、村川透監督とか、崔洋一監督とか、実績の有る監督はダメなのかな?」、「プロの映画監督にやってほしかったなぁ~でも原作が面白くてその出版社の社長が監督なんだから、映画の現場スタッフがそつなくまとめてくれるのでは・・・」などと不安と淡い期待を持ちつつ映画館へと向かいました。

観終わった感想は・・・・この年 最大の「事故物件映画」でした。あんな面白い小説を、どうやったらこんなひどい映画にできるのだろう?筋もキャラクターもメチャクチャです。「監督は実は原作を読んでないのでは?」と思えるくらい。

でも冒頭のマイクル・コナリークリント・イーストウッド監督・主演で、『わが心臓の痛み』という小説が『ブラッド・ワーク』というタイトル(原題ですが)で映画化された時に、あんな内容になってしまうとは、思っていなかったと思います。その後コナリーは次作の小説の中で、この映画の事を主人公のボッシュ刑事に会話させています。佐々木さんも、ぜひ小説内で佐伯刑事に、この映画の感想を言わせて欲しいなと思います。

確かに面白い小説を、ダイジェストにならない様に、映像化するのは本当に難しいと思います。でもNetflixとかamazonプライムのオリジナルで、この道警シリーズは映像化すれば、複数話で予算もかけて、キャラクターを描きこめますので、成功するのではないでしょうか。ぜひ!ぜひ!amazonオリジナルの『ボッシュ』を超える日本の刑事モノを!ただし・・・今回は、きちんとしたプロの監督、プロの俳優でお願いします。

星取

★★★

安心の読後感です。あえて言うなら、犯人の動機や困難な境遇への想いを描かずに、足跡から警察側の捜査と推理の積み重ねで、犯行の全体を形造っていく構成の作品です。わたしは犯人の想いをもっと知りたいな、と今回の話は読後に感じました。でも、それは人間性を知りたいと思えるような犯人像を、創ることができていたからだとも言えますので、悪いところという意味ではありません。 今回もシリーズのファンは満足できるのではないでしょうか。

ご安心ください・・・シリーズ未読の方が最初にこの作品から入ってこられても、まったく問題ない作りです。 でも個人的には、まだこのシリーズを読んだことが無い方であれば、1冊目の『笑う警官』から入ることをお奨めします。人間関係の変化も、物語を重ねることで加わっていますので、最初から読んでいく方が、より楽しめるからです。

(それでは・・・あいすみません)