あいすみません

早期退職?セミリタイヤ?・・・いやいやダウンシフトです!「筋トレ」「読書」「映画&音楽&スポーツ鑑賞」で心身を整えています。

ACL:浦和レッズ 対 川崎フロンターレ戦・・・采配とメンタル

ACL準決勝第2節

昨日(9/12)サッカー:アジア・チャンピオン・リーグ(ACL)の浦和レッズ川崎フロンターレの試合は久々に両監督の采配による駆け引きと攻防、ピッチにいる選手の試合の流れ、残り時間、攻守の状況によるメンタル部分の変化とプレー選択の妙が、色濃く表れとても面白い試合内容でした。最近こういう試合を観た記憶が無いくらい、本当にメンタルが結果に直結した試合だったのです。

 

ACLはホームとアウェイの2試合の結果の合計で勝ち残りが決まるというシステムです。川崎はホームの第一試合に3対1で勝利し、優位な状況でアウェイ戦に臨んでいました。浦和は第一試合に負けましたが、貴重なアウェイゴールを取れたので、2点取り引き分けに持ち込めればアウェイゴール差で、何とか勝ち抜けることができる状況です。

 

戦前予想は圧倒的に川崎が有利。今年のチームの仕上がりの状況も、失速した浦和に対してJリーグにおいて優勝争いにからんでいる川崎の方が上であると思っていました。川崎の特徴は、ポゼッション戦術が徹底されているということです。前線の選手を中心とするチーム全体の見事な連動性と、中村選手という円熟のプレイメイカーに加え、名手と誉れ高い家長選手も大宮から補強で加わり、見事な勝ちっぷりを披露してくれています。対する浦和は・・・、補強の失敗(必要なところをしなかった)と相手に対策を研究しつくされた戦術の劣化により、今年は特に守備が崩壊し、とても厳しい状況です。そんな両極端の両チームの状況の中、ベスト4進出を賭けた一戦は始まりました。

試合を左右したのは予期せぬ出来事と監督采配と選手のメンタル

1:川崎がアウェイゴールゲットの先取点

 

試合はいきなり川崎がアウェイゴールをゲットしました。今年の浦和の最大の弱みである、ディフェンス時のポジショニングと判断ミスからです。浦和GKの西川選手は指摘されている通り、今年は判断ミスが多く不安定、槙野選手もポジショニングが悪いのか、相手の選手に抜かれることが多いです。一番与えてはいけないアウェイゴールを、浦和がミスで簡単に与えてしまったので、早くもゲットできた川崎は、ここで今日は勝てると思ったのでは?少なくともサポーターは思ったでしょう。

 

2:前半川崎SBの一発退場で中村選手を下げてDF投入

 

その後前半のうちに浦和は何とか興梠選手のゴールで1点を返し、あと2点で延長に入れるということになりました。そして退場劇、川崎のSBの足の裏が興梠選手の顔面をヒットしたのです。この不運、ちょっと厳しい判定の中、川崎の鬼木監督は、攻撃のタクトを振う中村選手をDFの選手に交代しました。ピッチの中の選手には、2点の優位を守り抜くというメッセージが明確に伝わったと思います。

 

3:後半浦和の怒涛の攻め

 

後半は浦和が攻めたてて、川崎は防戦一方となりました。一人少ないうえに、全体が引きすぎてゴールの近くで守ってしまいました。浦和はセカンドボールの回収を続け、川崎にボールをほとんど渡さずに攻め続けることができます。そこで川崎は大島選手を下げ外国人DFを投入、守り抜くというメッセージのさらなる徹底を図ります。逆に浦和は、ディフェンスが弱点にもかかわらず屈強な外国人CBを下げ、大柄な外国人CFズラタン選手を投入、攻め抜くというメッセージを徹底します。

 

ここからはご存じの結果となり、浦和が戦前の予想を覆し後半3点とり、奇跡の逆転勝利となりました。2試合合計で5対4で勝ち抜け、準決勝進出です。

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AFC Champions League Quarter-finals second-leg: Magnificent Urawa Reds through after super show | AFC

勝負のポイントは、川崎が前半退場者が出た時に中村選手を下げたところでしょうか。サッカーの監督の采配は結果が全てですので、勝てば神様、負ければ・・・・です。わたしは交代カードを見た瞬間、鬼木監督勝負に出たな・・・と思いました。まだ前半で中村選手を下げるのは、メッセージとしては強烈です。このメッセージで川崎の選手の意識が全員守りに入りました。そしてカウンター攻撃のパスの配給者がいなくなりました。小林選手、家長選手など受け手が機能しなくなり、ますます下がり、守備に追われる結果となったのです。

 

試合開始早々は、川崎のパス回しでシュートの恐怖感があったのですが、このチームの姿勢が退場・交代で、ものの見事に変わってしまったのです。浦和から見ると点を取られる恐怖感が減り、点を取れば勝てるというメンタル状況になったのです。

 

サッカーの試合で時々観ますが、怒涛の攻撃を30分近くやられると、だいたい最後取られちゃいますね。ザック・ジャパンの日本代表とかありましたよね。

強みが出せたチームは・・・?

①試合前の両監督のコメント

浦和 堀監督のコメント

「自分たちのチームの特長は攻撃だと思っていますので、いかに自分たちが攻撃の時間を長くするか、それによって自分たちの持っているバリエーションをしっかり出してゴールを奪っていこうと考えています」

 

川崎 鬼木監督のコメント

「シンプルに勝ちを目指して戦う。これに尽きる。次に進めるためにそれを実現したい」

 

このコメントを昨日の試合に当てはめると、事前のプランを実行できたのは浦和の堀監督でした。失点はミスなので余計ですが、もともと守備が弱いので、攻撃でボールを握り続けた方が強みが出ます。川崎もポゼッションを強めた時の方が、相手を圧倒できる。一人減り少なくなった時の鬼木監督の選手交代策というメッセージが、戦前と変わり、勝つのではなく負けるなというものになったのです。川崎の鬼木監督のメッセージは、実は浦和の選手にとってもメッセージとなり、それは浦和が得意な方向(=苦手なことから解放される方向)と重なり、思いのほか浦和にとってポジティブな内容であったのです。面白いですね、川崎の監督のチームへのメッセージが、実は浦和にとってポジティブに効いたなんて。

 

②試合後の両監督のコメント

浦和 堀監督のコメント

「ゲームプランに関しては、しっかりと自分たちでボールを持っていくこと、そして、できる限り相手に守備をさせて、敵陣でゲームを進めていきたいと話しました。当然、自分たちでボールを持つということは、相手からボールを奪いに行かなければいけないので、それに対して積極的にハードワークしてボールを奪う姿勢を持っていこう、ということです」

 

鬼木監督のコメント

「退場のあと、僕のほうでもっともっとゲームをコントロールするべきだった。選手はよく頑張ったが、僕がコントロールできなかった。そこに尽きる。相手に圧力をかけるにはやっぱりアウェイゴールというのが一番相手にとって嫌なことになると思いますけど、そこにパワーを注げなかった。それがずっと守るという状態になってしまった」

 

鬼木監督も同じ分析をされたようです。交代などのピッチへのメッセージが、自陣に引きこもる状況を作ってしまった。浦和がこの試合で一番ヤバいと思う、ポゼッションもしくはカウンター攻撃ができる人材を、ピッチに残さなかったのです。先ほども書きましたが、監督の采配は結果論で評価されます。ハリル・ジャパンもそうですよね。今では解任危機が一転し、若手起用の名采配となっています。わたしは浦和ファンですが、鬼木監督の前半の中村選手の交代の采配を観た時、「すごいな、この采配。監督勝負賭けたな」と思いました。選手と同じメッセージが伝わったのです。同じく堀監督の後半のズラタン選手、駒井選手への交代も、メッセージが明確に伝わりました。

 

この一戦では久々に予定調和ではない、選手交代、システム変更の勝負を観れたと思ったわけです。特に浦和は前任のミシャ監督は、正攻法というかパターンがあり、あまり采配の妙は感じませんでしたので。

 

ACL勝ち抜けのルール、先取点、同点弾、退場、交代、残り時間、得点差、采配とメッセージ、選手の心理、両監督の駆け引き・・・こういうサッカーのしびれる感覚を、久々に味わえて素晴らしい試合でした。両軍に御礼申し上げます。

 

(それでは・・・あいすみません)