あいすみません

早期退職?セミリタイヤ?・・・いやいやダウンシフトです!「筋トレ」「読書」「映画&音楽&スポーツ鑑賞」で心身を整えています。

「ダンケルク」は最初から最後までずっとクライマックスが続く映画:この映画を観た(11)

邦題:「ダンケルク

原題:DUNKIRK

監督:クリストファー・ノーラン

主演:トム・ハーディー、ケネス・ブラナー

2017年/イギリス・アメリカ・フランス・オランダ映画

「ダンケルク」の画像検索結果

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鑑賞前

 本作「ダンケルク」は、第2次世界大戦におけるダンケルクの戦いを、『バッドマン』シリーズのクリストファー・ノーラン監督が映画化するというニュースを2年ほど前に聞いた時から、とても楽しみにしていた映画です。しかしながらダンケルクの戦いとは何?という状況でした。第2次世界大戦で過去映画になったものですと、ノルマンディ上陸作戦(『プライベート・ライアン』)や、アウシュビッツ収容所(『シンドラーのリスト』)、硫黄島(『硫黄島からの手紙』)などがありますが、この作戦の事はよく知りませんでした。

 

この作戦は史実なので、そこで映画に行く前に簡単に調べてみました。

1:ダンケルクの戦いは、1940年の5月末から6月頭の時期に起こっています。イギリス軍とフランス軍が、ナチス・ドイツの侵攻に押されて、北フランスのダンケルクという海岸沿いの街から海峡を挟んだイギリスへ撤退するという、いわゆる負け戦であること。

2:Google mapで確認すると、フランスのダンケルクからイギリス側の一番近い沿岸部(ドーバー)までの距離は海峡を挟んで約 82キロメートルぐらいの距離であること。

3:状況としては、ドイツ軍に海も空も陸も包囲・制圧され、一刻も早い撤退を実現しないと皆殺しにされてしまう可能性が有ったこと。

4:撤退させなければならない兵隊の数は、40万人にも及んだこと。

5:撤退させるために、民間の船も徴収されたこと。

6:結果として40万人のうち、約33万人の撤退に成功したこと。

・・・等です。

 

ちなみに同じ時期=1940年の日本の状況は、日中戦争そして日独伊三国同盟を締結し、アメリカやイギリスと対立、第2次大戦へ前のめりになっていった年です。要するにナチス・ドイツがヨーロッパで勝っていた頃ですね。このダンケルクの戦いの後、ナチス・ドイツはフランスを占領してしまいます。

 

この作戦は当時イギリスの首相だったチャーチルが、この後の戦いを考え兵士を温存するという決断をしたことで、大規模な撤退という作戦になったのです。時間が経ち今振り返ると、正しい決断だったと思います。この夏の第2次大戦のドキュメンタリーで日本軍は、戦闘行為で死んでしまった兵隊の数よりも、戦場に置き去りにされ武器も食料も供給されずに、病気や飢餓で亡くなった方の方が多いという情報を観ました。つまり見殺しです。日本人は撤退が不名誉となってしまい、決断ができなかったのでしょう。今も変わってないと思います。負けた場合その敗因の分析を、突き詰めてする事も苦手です。事が起こった後の分析もしないで、想定外とか・・・言ってますので。(日本の過去の戦争で、事前に賢明な判断をし成功した撤退戦というのはあったのでしょうか?今度時間がある時に調べてみたいと思っています)。

 

そんな事を思いつつ、映画の完成と公開を首を長くして待っていた今年の夏でした。(今年の夏も第2次世界大戦の良いドキュメンタリーが沢山ありましたね)

クリストファー・ノーラン監督

内容が重くなってしまいました・・・あいすみません。映画的には!楽しみにしていた理由は、ノーラン監督です。わたしは初期の監督作品である、1998年の『フォロウイング』、2000年の『メメント』、2002年の『インソムニア』をリアルタイムで鑑賞した世代です。『メメント』が最初で、『フォロウイング』を後からだったと思います。この頃は数は減りましたが、ギリギリ新作で気になる映画を観ていた時代です。この後からは15年くらい映画館に行く機会が、めっきり減ってしまいました。2005年の『バットマン ビギンズ』で大ブレイクする前の作品は、ミステリー&スリラーとして、とても内容が練られている作品でした。

 

この監督の素晴らしさは・・・、

1:企画の独創性

2:物語の複雑な構成を映像化できる演出力

3:映像のセンスと技術力

4:キャスティングのセンス

5:編集の見事さ

等ではないでしょうか。

 

でも創ってきた作品がどれも独創性が高く、一瞬たりとも画面から目を離せないという緊張感が保たれているというのは、本当に素晴らしい監督です。今の現役監督ではトップクラスでしょう。『バットマン』シリーズ以外の作品もぜひ鑑賞してみてください。Netflixでは『メメント』、2006年の『プレステージ』(amazonプライムも)、2010年の『インセプション』が執筆時点で鑑賞できます。そしてバットマン3部作である、『バットマンビギンズ』、2008年の『ダークナイト』、2012年の『ダークナイトライジング』も鑑賞可能です。 

鑑賞後

物語の説明はしません。内容は、撤退あるのみ、しかもスグ!以上です!!とにかく始まった瞬間から最後までずっとクライマックス。こんな作品を久々に観ました。観客に余計な説明はしません。いきなりわたしたちを、ダンケルクの浜辺のど真ん中に連れて行き置き去りにするのです。登場人物の背景の説明もありません。全員が役割を持った兵隊なのです。撤退は刻一刻を争います。ためらったら・・・そこにあるのは死です。ドイツ軍は容赦をしません。ためされるのは・・・勇気と決断なのです。

 

この映画は、CG処理はしていないそうです。ロックの世界にたとえるとQUEENです。初期のアルバムに<No Synthesizer>とクレジットされていました。全て生音のダビングで、音楽を創造したわけです。この映画の場合は、全て現場でセットを建て込み撮影したのです。合成なし。俳優の横で大爆発起こしているわけです。 そんな映画創りをする人がいるんですね。コッポラ監督のベトナム戦争を舞台にした映画『地獄の黙示録』を思い出しました。あれもナパーム弾で森を本当に焼いてしまっていました。でもあれは1970年代です。コッポラ監督は、完成が遅れに遅れ破産しました。ノーラン監督のチームは緻密な計算の上にプロジェクトを進めているので、時間もコストも超過したという、ありがちなスキャンダルは聞こえてきません。凄いプロデュース能力。コストと時間とクオリティの調和、見習いたいものです。嫉妬と羨望し・・・その後に脱帽します。

星取

★★★★

絶対に観た方が良い作品です。内容も、その映像技術レベルの高さも。現代の映画創りの最先端かつ最高峰を鑑賞することができる作品です。

 

何度も言いますが、この映画の内容は 負け戦です。次につながる正しい負け戦をするための、大救出作戦なのです。軍人以外の一般人も自分の所有するヨットや釣り船で参加し、魚雷や爆撃の間隙を縫い、対岸のダンケルクに向かうのです。イギリス人全員が、一人でも多くを撤退させるという強い意志を持ち団結しているのです。これは勇敢な行為です。ヨーロッパ人の羨ましいところです。

 

物語で重箱の隅をつつくとすると、すこしイギリスの軍人の考え方が綺麗すぎるところです。置き去りにしたフランス軍の扱いなどを、最後に一人のイギリス軍人の大将の行動で美化していること等はあります。

 

(それでは・・・あいすみません)