あいすみません

早期退職?セミリタイヤ?・・・いやいやダウンシフトです!「筋トレ」「読書」「映画&音楽&スポーツ鑑賞」で心身を整えています。

今さら洋画劇場:宮部みゆきの小説「火車」と韓国映画版「火車」

積読を解消

古い?(ちょっと前の)作品を読み、そして鑑賞しました。宮部みゆきさんの小説「火車」とそれの韓国映画版です。

何故?今、「火車」だったのかは・・・昨年に集中的に行った書斎&事務所のお掃除の結果です。長年(長いものだと20年くらい?かな)に渡る書棚や床での積読状態、ダンボールに入れた状態だった書籍を、既読・未読・すぐ読む・後回し・保存・売却(既読未読問わず)に整理しました。

この「火車」は、すぐ読むコーナーに分類したのです。分類の理由は、その時の感覚です。ちなみに整理の時に売却と判断した本やDVDは、1か月程度置いたままにしてから問題なしと判断したものを処分しました(実はここから復活して本棚に戻した作品もいくつかあります)。

私の新潮文庫版の「火車」ですが、本の後付けを見ると平成19(2007)年12月30日の50刷です。当時でも凄い重版、今なら何刷でしょう・・・さらに版を重ねてますよね。買ってから時間が経っているのは間違いありませんので、約10年以上本棚に眠っていました。自分で買ったか、ミステリー好きの母から回ってきたかは定かではありませんが・・・。

何故?今、「火車」を読もうと思ったか・・・・

1:ダウンシフトして自分の時間を取り戻せたから

素晴らしい!最高!狙い通り!嬉しい!楽しい!幸せ!=という感じ

2:ミステリーガイドで常に好評化

小説「火車」は高評価というか傑作!という評価が各ガイド本に書かれています。特に宝島社刊のミステリーガイド「このミステリーがすごい!」の20周年オールタイム・ベスト10の1位になっていた事を強く覚えていたので、書籍整理の時に再会した瞬間に「おー『火車』持っていたのか!2度買わなくてよかった!!」となったのです。昔からガイドブック好きなものなので・・・。

3:韓国映画版のDVDを購入した

中古屋さんで見かけました。これは買おうと思った時に、モノ削減な人生との間で悩んだのですが・・・買っちまいました。(嘘です、数百円だったので悩まずに買っちゃいました)原作、映画共に所有しているなら、もう楽しまずにはいられません。今回は先ず原作を読みました。

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小説「火車」とその韓国映画

小説「火車」は評判通りの傑作でした!

面白い小説でした。すみません今更で。もっと早く読めばよかった・・・トホホ。ミステリーなのでネタバレするような内容は書きませんが、amazonの本書の紹介欄では以下の内容が書かれています。

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休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? 謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。

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小説の舞台は1992年です。スマホが無かったり、個人情報の扱い等、2019年と比較すると時代感は感じます(当たり前ですよね)。しかし物語(登場人物の人生)の辛さや重さ、人間(登場人物)の行動と理由と結果とその影響は、心に直球で刺さってきます。次の展開はどうなるのか?この人は一体何者なのか?など、小説内で探している事を、読みながら一緒に探すという感覚になり、まさに一気読みでした。未読の方は是非!すぐにでも!!

韓国で映画化されたスリラー映画の「火車

で!この傑作小説が2012年に、韓国で映画化されたのですが、韓国映画のスリラー&ノワール&ミステリーは、メッチャ良くできている!面白い!エグイ!・・・と何度も紹介してきました。日本映画はティーンや若い女性対象の作品が多いので、「ウッひゃー」とか「どっひゃー」とか言うくらいの、エグイ作品がありません。私は映画は、韓国押しの映画ファンです。この映画版の、同じくamazonの紹介は以下の通りです。

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韓国B.O.1位獲得、200万人を超す動員とメガヒットを記録! 
2012年3月より公開するや否や1週で100万人を突破、イ・ソンギュン、キム・ミニ、チョ・ソンハら出演者の好演や巧みなストーリーが口コミで広がり公開以来22日までボックスオフィス1位を独走し、名実共に記録的メガヒット作となった! 

【STORY】
結婚一か月前、両親宅へ挨拶へ行く途中、サービスエリアに寄ったムンホ(イ・ソンギュン)とソニョン(キム・ミニ)。コーヒーを買いに行ったムンホを待っていたものは、ドアが開いたままの車だけだ。繋がらない携帯電話、痕跡もなく彼女が消えた。彼女を探すために前職が強力班刑事で親戚の兄ジョングン(チョ・ソンハ)の力を借りるムンホ。しかし、家族も友人もいない彼女のすべては嘘だ。失踪当日、銀行口座から残金をすべて引き出し、住んでいた家の指紋までも消していたソニョンの行動に単純な失踪事件ではないことを悟るジョングンは、彼女が殺人事件と関わりがあることを知る…。

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韓国映画版は小説の世界を2時間に改編しなければならないので、主人公の設定を婚約者に変えて、ドンドン物語を進めていきます。展開を急ぎ過ぎてしまうのは尺問題ですね。Netflixなどで5話くらいのミニシリーズにした方が、原作の丁寧な心理描写が再現できるのでは?と思います。そこはちょっと残念。

ヒロイン?というか失踪した女性の役を、キム・ミニという女優が演じております。彼女はどの映画でも良い女優なのですが、今回も秀逸です。必死さ、切なさ、可憐さ、不気味さを、兼ね備えた演技を披露してくれています。大傑作とは言えませんが、原作を読まずにの映画版だけと出会っていたら、2時間楽しませてくれたとは思います(微妙な書き方になっちゃいました)。

ふたつの「火車」は違うのか?

日本の小説と韓国映画、この2つの「火車」の一番の違いは何でしょうか。それは、失踪するヒロインの印象です。小説では実体がないので、顔が見えない、想像できないまま、その正体をつかみたい、知りたいと、本気で読者も思ってしまいます。どんな人間なのか?何故?何があった?・・・興味がつきません。小説の主人公の刑事の想いと完全に一体化してしまいます。最後まで一緒に探すのです。彼女の顔が観たい、声が聴きたい、考えを知りたい・・・と。

韓国映画版のヒロインは、映画なので姿形を知ることができます。モヤモヤと霧の中にいるような、嫌な感じを体験できません。非常に具体です。この具体的な人物の失踪を、映画版の主人公の婚約者と元刑事が追いかける執念が、弱いのです。一枚も写真が無ければ良いのですが、時代が変わり今やスマホの時代なので、人類は写真や動画を撮りまくりです。そこが映画化の困難なところだったのではないか、と思われます。ヒロインが具体化してしまう。だからキャストにキム・ミヒの様な、ふわっとしたイメージを出せる女優さんにしたのでしょう。キラキラのスーパースターじゃ合わないので。人や過去や事実を捜す映画で、面白い作品はいくつかありますよね。『赤い影(1973年イギリス映画)』とか『ザ・バニシング 失踪(1988年オランダ映画)』とか。映画版は、今回は、そこまで及ばなかったか。映画は視聴者の過去の映画体験との闘いですので。

お奨め度

小説「火車」は間違いなく、面白い作品でした。平成の時代に間に合ってよかった。 スグに読むべき小説でした。お金が商品、お金が人生、物欲、幸福度、マウンティング・・・『現在がこういう現在である事の理由』が書かれてある小説です。エンタテインメントで現代社会を表現しているのです。私も!★★★★★の5つ星です。

韓国映画版は、たぶん廃盤で中古しか手に入りません。もしもご近所の数少なくなったレンタル店で見かけたら、観ておきましょう。だんだん観れなくなりますから。でも!小説が先の方が良い体験となるはずです。★★☆

(それでは・・・あいすみません)

 

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