邦題:「アシュラ」
英語タイトル:ASURA:THE CITY OF MADNESS
2016/韓国
監督:キム・ソンス
主演:ファン・ジョンミン、チョン・ウソン、チェ・ジフン、
クァク・ドウォン、チョン・マンシク
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鑑賞前
すっかり韓国映画のスリラー好きとなり、いろいろ検索し鑑賞の機会をうかがっている今日このころ。amazonビデオのレンタルで、実はジャンル分けができにくい韓国ホラー?映画『コクソン』に続き、今度は「アシュラ」を鑑賞することにしました。海外予告編を観た時から、気になっていた作品です。
どこまで好きなんだ韓国スリラー映画が・・・という感じですが、その理由は??
1:よくできている作品が多い
2:残酷な内容でもスター主演なのでしょぼくない
3:お金がけっこうかかっている
4:アクションやスリルの描写が突き詰めている=温くない
一言でいうと、面白い映画が多いという事です。
別にわたしは韓国ものなら何でも良いというわけではなく、好きなのはスリラー、アクションのいわゆるジャンルムービーです。時代劇は、肌に合わないので観ません・・・ラブストーリーは時々良いものがあると思います。
ジャンルムービーと言われる映画、つまりホラー、アクション、スリラー、サスペンス、ミステリー、そして時々SFという世界観は、大市場のアメリカに打って出ることができる、クリエーターのチャレンジ・ジャンルだと思っています。マジでスゴイ!ここまでやるか!よく思いついたな!撮影中にスタッフ死んでないか!?等と観客に思わせてくれる映画を作れれば、海外作品はほとんど観ないアメリカの映画市場でも、公開される可能性があるのです。そして世界中の映画配給会社やビデオメーカーに購入してもらえるチャンスが増えるわけです。文芸作品やアート系作品ですと、それこそヨーロッパの映画祭を中心とした上映になります。さらにさらに、作品の評価が高い場合は、次回作をアメリカ資本で監督できるチャンスを得られるわけです。そうすればどうなるか?・・金持ちになれるのです・・たぶん。
『箪笥』『甘い人生』(N)、『悪魔を見た』(N)、のキム・ジウン監督は、2013年に『ラスト・スタンド』(N)で、シュワルツェネッガー主演映画を監督しました。『殺人の追憶』(N)、『グエムル』(N)のポン・ジュノ監督も、2013年の『スノーピアザー』(N)でアメリカ進出し、2017年の『オクジャ』はNetflixオリジナルで世界配信です。
世界に行ける!世界で闘える!世界の頂点を目指す!まるでサッカーの日本代表みたいですが、まさしく同じですね。ジャンルムービーを制する者は、世界のTOP監督になれる可能性があるのです。それだったらすごい映画出てきますよね。特に韓国は、映画がアジアを中心に国際市場を狙う輸出産業ですので。
視聴したamazonビデオのレンタルですが・・・48時間視聴可能で500円。うーむ、これは高いか安いか?・・・少し高いですね。TSUTAYAに行けば新作レンタルでも当日返しでもっと安く借りられます。この作品ですとDVDセルは、1年後には千円になる可能性がありますね。メジャービデオ会社のリリースですと、ほとんどなりますので。でもね!わたしの家の近所のTSUTAYAは撤退してしまったのです。これなら仕方が無いです。NETでレンタル視聴する時は、なるべく外れを引かないように予告編を見るなり、
ユーザーレビューを少し読むなり、精査してのぞむようにします。
※(N)=Netflixで執筆時点に鑑賞できる作品です。
ファン・ジョンミン・・・ってすごい俳優ですね
「アシュラ」を観る理由は、もうひとつあります。それは主演の一人ファン・ジョンミンです。
上のポスターの上段中央の人です。観たことあるでしょう、この顔。『コクソン』では祈祷師を演じてました。韓国映画に欠かせない、主演クラスの俳優です。映画ニュースではこの方の主演作品は毎回韓国で大ヒットとなっているので、地元で大人気なのでしょう。わたしが彼を好きなのも、実はどの作品を観ても面白かったからなのです。彼本人もしくはエージェントの作品選択眼が、一流という事でしょうか。近作でも様々な役を演じています。そして全部が主演クラス。今回の役柄は史上最悪の悪徳市長です。
2016年の『コクソン』では怪しい祈祷師、『華麗なるリベンジ』では朴訥とした検察官、2015年の『ベテラン』では財閥御曹司と闘う温情溢れる刑事、2014年の『国際市場で逢いましょう』(N)では、一家を支え続ける青年、2013年『新しき世界」(N)では、義理堅いヤクザのナンバー2・・・などなど、
そのフィルモ・グラフィは、有名かつ多彩かつ面白い作品で埋め尽くされています。上記の作品はどれを観ても満足できると思いますので、時間のある方は是非!
鑑賞後
内容は・・・疲れる作品でした。物語はネタバレが悪いので書かないように努力しますが、出てくる登場人物が全員異常者で極悪人なのです。ファン・ジョンミンの私腹を肥やす悪徳市長、チョン・ウソン(上記写真の上段左)の裏金つくりにまい進する悪徳刑事、チェ・ジフン(上記写真の上段右)の暗黒街で成り上がりを画策する元若手刑事、
クァク・ドウォン(上記写真の下段左)の有罪にするなら何でもやる悪徳検事、チョン・マンシク(上記写真の下段中)の検事子飼いの暴力マシン、みんなひどい人。
しかもやる事なす事裏目の連続なので、事態は壮絶かつ血まみれのカオス状態になっていきます。こいつらは頭が悪いんでしょうか?と思えてくる、思わず失笑の事態の連続です・・・でも血まみれで痛い。
最後に付け加えておくと、クァク・ドウォンも『コクソン』に続き登場。この俳優も見事なカメレオンぶり。『コクソン』の事件に巻き込まれる朴訥とした田舎警官と真逆の、権力欲の強くいやらしい男を演じています。韓国映画の俳優の面構えの見事さを、再確認できました。
星取
★★☆
凄いんだけど・・・・でもね・・・。と言える作品でした。描写やアクション、俳優の狂気演技は問題なし。しかし残念ながら、物語の深みが足りないのです。
画面に見えてる事柄の悲惨さや、身体的な痛みを感じさせるところに、全力を挙げたという感じの映画です。とことんやる!途中でひよらない!このやり過ぎ感が、韓国映画の良いところなので、それは十分に伝わります。でも贅沢をいうと、物語の世界観はあまり心に訴えてくるものが無いのです。ファン・ジョンミンをはじめとする良い俳優を揃えているので、もっと深くできるのではと思ってしまうところがあり、そこが惜しいかな?・・・と思いました。日本映画を考えれば、贅沢な文句かもしれませんが・・・。
<2018年11月=追記>
何と!今ならNetflixでラインアップされています。時間が経つと視聴機関が終了して、サラッと消えて観れなくなるので、是非ご鑑賞を!
えっ?星が少ないのに、薦めるのかって??
凄い映画である事は間違いないのです。スプラッター映画か!と思うくらい、血まみれ映画。出る人、出る人・・「エー??!!」という行動の連続。みんな狂っています。欲と権力と金と・・・。「アレ?」実は結構好きだったりして??この映画。では・・・Netflixで再見しますか。
(それでは・・・あいすみません)